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高森明勅
2016.12.30 01:00

「強制退位」以外は憲法違反?

いわゆる「生前退位」を巡る言説の馬鹿さ加減の底が見えない。

果てしなく馬鹿げた言論が飛び交っている。

呆れたことに、退位の「要件」の1つに天皇ご自身の“意思”
加えるのは憲法違反、という批判まで飛び出す始末。

例の第4条
「天皇は…国政に関する権能を有しない」
に違反するのではないか、と言うのだ。

どこまで歪(いびつ)な憲法解釈をしているのか。

GHQより自虐的な戦後憲法学を更に上回る酷さ。

退位は専らご本人の身の処し方の問題。

国政には関わらない。

憲法が想定しているのは、
「国事行為において(天皇ご自身が)『
この大臣の任命には反対だ』
とか『
いまの衆議院は解散するしかない』と言い出したり、あるいは
天皇が党派政治に巻き込まれたりするような事態」
長谷部恭男氏)だ。

拡大解釈にも程がある。

そもそも退位に当たり、ご本人の意思を100%
排除するというのは、
余りにも不合理ではないか。

まさに「強制退位」そのもの。

しかも退位は、ご本人の意思だけでは決まらない。

その最終的な決定権は皇室会議に属する。

決定権の無い「国政に関する権能」なんてあるのか。

馬鹿の底が抜けてしまったのだろうか。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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